香り · 2023
Béton Chaud・自由の記憶をたどって
- 掲載日
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- 日本語
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2023年9月18日に掲載されたベトナム語の原文からの翻訳です。

Béton Chaud は、どのように生まれたのか
「真っ赤に燃えるような夏の日々、私は近所の子どもたちと、空き地のコンクリートの土管のなかに座って、空に揚がる凧をよく眺めていました。翼を広げる凧を見上げながら、あのとき、私は思ったのです。自分も飛んでいるのだ、と。子ども時代と冒険心は、何ものにも代えがたい贈りものです。あの日の土管のなかで、私たち子どもは、この世でいちばん幸せで自由な生きものだと感じていました。」(Rei Nguyen)Béton Chaud を生んだ想い。Béton Chaud は琥珀色をしている。香りの世界で、上質さのしるしとされる色だ。R Parfums の調香師は、ひとつひとつの素材がもつ本来の姿を大切にしている。香水に着色料は加えない。どの香りの色も、その香りをかたちづくる、素のままの香料から生まれる自然な色だ。
そして Béton Chaud の色は、琥珀色というだけではない。夕暮れの色であり、記憶の色でもある。Béton Chaud は、夏の熱と、このうえなく穏やかな夕暮れのひとときを思い出させる。長い一日のせわしない高ぶりをしずめ、また新しいはじまりに備えるために、人に必要な静かな間(ま)。
Béton Chaud は、どんな香りなのか
Béton Chaud・Eau de Parfum・50 ml。トップノート:ピーチ、オレンジ、グレープフルーツ。ミドルノート:クミンシード、キャラメル、ダマスクローズ。ベースノート:シナモン、フランキンセンス、カルダモン、バニラ。
クミンシードは、さまざまな用途に使われる大切なスパイスだ。インドでは多くの料理に使われ、伝統的なスパイスとして根づいている。さらに古代エジプトの時代にさかのぼれば、発掘された墓所で、ミイラづくりに用いた防腐の処方からもクミンシードが見つかっている。Béton Chaud の調香では、クミンシードが熱く人を惹きつける力をはじけるように放ち、同時に、まとう人の肌の上で香りの持ちを高めている。
Béton Chaud は、誰にでも好かれるための香りではない。スパイスとアンバーの重なりに、輝くようなクミンシードとかぐわしいシナモンが加わり、胸の奥の感情を呼び起こす。はじめは見知らぬ香りに思えても、肌の上でひらいていくにつれ、しだいに心を奪われていく。そこにほのかにのぞくのは、ダマスクローズとスチラックスの樹脂の香り。情熱と自由の香りだ。
Béton Chaud・自由の記憶をたどって
Béton Chaud(熱いコンクリート)・大人たちの定義
コンクリート管とは、工事現場で構造をささえ、通り道にもなる硬い管のこと。
Béton Chaud(熱いコンクリート)・子どもたちの定義
基地をつくったり、砦を築いたりする場所。雨宿り。私だけが知る、プラスチックの鉄砲の隠し場所。手紙のやりとり。かくれんぼ。新しい友だちとの出会い……(リストはまだまだ続く)
「幼いころ、2000年代のはじめの私の世界は、Messenger も TikTok の動画もない、まったくの『オフライン』でした。当時の子どもたちの遊びは、ただ季節とともにめぐるもの。そして風の季節が来ると、私たちは凧に夢中になったものです。焼けつくような夏の日、近所の子どもたちと空き地に集まっては、お小遣いをためてエイのかたちの凧を買ったり、自分たちでつくったり。あの日々の空を彩る色と自由を見上げていると、夏の熱が、のんきな子どもたちの心にまでしみこんでいきました。怖いものなど、何もなかったのです。
あのころの私たちは、風で凧の翼が破れることなど、少しも恐れていませんでした。ただ、凧が翼を広げて、高く舞い上がることだけを願っていたのです。」
- Rei Nguyen
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